特定保健指導の指導員を続けていて数ヶ月、最終評価で気づくことがありました。

動機付け支援の人のほうが、改善率が低いな
特定保健指導には、対象者の方のリスクに応じて積極的支援と動機付け支援の2つの支援方法があります。
私が面談した方々の改善率を確認してみると、積極的支援の方のほうが行動目標の実施率も良く、数値としても結果が出ているようです。
一方で動機付け支援を担当していると、最終評価で「結局数値はほとんど変わらなかったな」と感じる割合が増えます。
その結果を見たとき、私はなんとなく悲しい気持ちになることがありました。

この「悲しい」の正体ってなんだろう
そしてどう向き合っていけばいいんだろう?
今回は、特に動機付け支援において数値が変わらなかった人に対して思うことと、今後の向き合い方についてまとめてみようと思います。
もし私と同じように「動機付け支援を担当した人の数値改善が難しい…」とお悩みの方がいたら、参考になれば嬉しいです。

あくまで私個人の考えなので、「こんな考え方もあるんだな」くらいでお読みいただければと思います。
特定保健指導全体においての数値の話はこちらの記事に書いています。
「悲しい」の正体
まず、数値が変わらなかった時に感じる「悲しい」の正体について考えてみました。
すると、その中身は実は一つではありませんでした。
- 純粋に、話した相手の数値が変わらなかったことへの職業的な残念さ
- 「自分の関わり方が良くなかったのかも」という、自己評価に関わるモヤモヤ

あとは正直に言うと、業務の評価に数値が絡んでいることへの気持ちもあります
これらの気持ちがまとめて出てくるので、それが「なんとなく悲しい」に繋がっているのだと気づきました。
数値では見えなかったもの
そんな中、実際にこんな出来事がありました。
動機付け支援を担当した方で、最終的な結果が目標に届かず、マイナス1kgほどで終わった方がいました。

数値だけを見て、「頑張ってくれたとは思うけど、目標には届かなかったな」と少し残念な気持ちになったのを覚えています
しかしその後、支援終了後にご本人から届いたメッセージを共有してもらう機会がありました。
そこには、体が引き締まってきたのを自分でも感じられるようになったこと、食生活が変わり、自分の食事について意識できるようになったことへの感謝が綴られていました。

実は目には見えないところで、この方の力になれていたのかも…!
もし数値だけで自分の支援を評価していたら、この気づきには辿り着けなかったと思います。
そもそも動機付け支援に求められていることって?
そこで「動機付け支援に求められていること」について、改めて確認してみました。
調べてみると、国が実際に追いかけている「2kg・2㎝減った人の数」は、積極的支援の分しか集計されていませんでした(参考:1、2)。
つまり「動機付け支援でも2kg・2cm減らすべきか」という問い自体、そもそも制度が求めていることとずれているのかもしれません。
数値以外の「前進」って?
では数値が思うように動かなかったとき、何を見て「支援としては意味があった」と考えればいいのでしょうか。
現時点で私が思いつくのは、次の3つの視点です。
前より「気になっている」状態になったか
初回面談で「別に気になることはない」と仰る方は、特に動機付け支援で多く出会います。
そんな方が最後には「まあ、多少は気にするようになりました」くらいになっていたら、それは数値には出なくても前進なのかなと思います。
ひとつでも「自分の意志で」行動できたか
「誰かに言われたからやる」ではなく、自分の意志で何か行動できるようになっていれば、それも大きな前進です。
本気で「数値を改善したい」と思ったときに、自ら行動できる土台はできていると思います。
「やってみたけど続かなかった」だっていい
「やってみたけど、結局続きませんでした」
これも一見失敗に見えますが、「自分には合わなかった」という情報を本人が得られたのは大きいです。
私も前年度の面談情報を見ながら「この方はこの行動目標だと難しかったんだな。それなら今回は違うアプローチをしてみよう」と考えることも多いです。
対象者だけではなく、指導員側としても次の面談へのバトンが繋がっていると感じています。
面談の中身は何が変わるのか
ここまで整理してみて、一つ気をつけたいことがあります。
それは、決して「評価に入らないから、多少手を抜いてもいいや」ということではないという点です。
むしろ逆で、評価に縛られないからこそ「特に気になるところはないんですよね」と言っていた人を「まあ、ちょっとは気になるかも」くらいの温度に持っていくことに、もっと集中していいんじゃないかと思うようになりました。
私は正直、これまで危機感のない人にも「毎日〇〇kcal減らしましょう」のような、結果に直結する目標を伝えることがありました。
でも、そもそも本人がまだ「気になっていない」段階なら、いきなりハードルが高い目標を設定しても意味がないのかもしれません。
なので今後は、対象者の温度感によってはもう少し手前の段階の目標にしてみようかなと思います。
「まずは毎日体重を測定し、記録してみましょう」
「週1回、5分間ストレッチをしてみましょう」
数値を動かすための行動というより、気持ちの温度を上げるための行動、というイメージです。
それでも数値を求めてしまう自分も受け入れたい
とはいえ、実際に最終評価で数値が動いていないと、やっぱり落ち込みます。

それは相手の変化を願う気持ちがあるからこそ、真剣に向き合えたからこその感情だと思っています
ただ、この気持ちと「自分の支援が失敗だった」と評価することは必ずしもイコールではないはず。
数値だけでは見えないところで対象者の背中を押せたかもしれないし、来年度以降の面談へ繋がる話ができたかもしれない。
もちろん上手くいかなかったところは振り返りつつ、数値だけを見て必要以上に肩を落とすのは止めようと思います。
「まあ、多少は気にするようになりました」をめざして
今回は、動機付け支援で数値が変わらなかった人に思うことや、今後の自分のマインドについてまとめてみました。
この考え方を整理した上で「じゃあ実際にどう面談を組み立てるか」という実践編は、また経験値が溜まってきたら書いてみようと思います。
同じように悩んでいる指導員の方の参考になれば嬉しいです。
参考
(1)厚生労働省「第4期特定健診・特定保健指導の見直しについて」(見える化の項目とスケジュール) https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/001127418.pdf(2026/8/6)
(2) 健保連「特定健診・特定保健指導 実施状況速報」解説(JMDC STORIES) https://stories.jmdc.co.jp/blog/2604-1(2026/8/6)




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