私はいま、特定保健指導の指導員をしています。

特定保健指導とは、健診結果から生活習慣病のリスクがある方へ、食事や運動の改善をサポートする仕事です
特定保健指導の実施期間は基本的に3か月間。
この限られた期間で対象者の方と関わっていると、ふと不安になることがあります。
「たった3か月間、初対面の指導員と数回話しただけで、本当にその人の生活は良くなるんだろうか」
その人がこれまで歩んできた人生に対し、「3か月」という期間は長くはないと思います。
それでも意味があるのか、自分が関わることでその方の健康に貢献できているのか…。
そう思い、データを見てみることにしました。
全国の特定保健指導終了率は…
まず現実から見てみます。
厚生労働省が公表している2023年度のデータによると、特定保健指導の終了率は27.6%。
過去最高の数字ではありますが、対象者の約4人に3人は支援を最後まで終えていません。

ちなみにこの数字は、途中でやめた方も、そもそも参加しなかった方も含まれます
この数字を見て、あなたはどう感じますか?
私は「最後まで受けてくれる方はこんなに少ないんだ」という驚きと、「なら一層、完走できた方に効果はあったのか知りたい」と思いました。
終了した人のデータは、悪くなかった
少し昔のデータ(2016年)にはなりますが、一般社団法人日本肥満症予防協会の記事がありました。
それによると、積極的支援の終了者では平均で体重が男性1.25kg・女性1.63kg、腹囲が男性1.47cm・女性2.16cm減少していたとのこと。

第4期からアウトカム評価が導入されたこともあり、最新のデータが発表されたら数値も違ってくるかもしれません
その記事には、もう一つ気になるデータも載っていました。
それは、この効果が5年後も続いていたことです。
そう知ったとき、「たった3か月間の関わりで、本当にその人の生活は良くなるんだろうか」という不安から少し解放された気がしました。
数字の裏には、生活がある
データだけ見たら、「これしか減らないんだ…」と感じる方もいるかもしれません。
実際に最終報告を受けた際も、「数値は改善したけど、目標値にはいかなかった」という方も少なくありません。
でも、データだけでは見えないこともたくさんあると思ってます。
体重が1kgでも減った裏側には、いつも食べていたお菓子をやめたり、少しだけ早起きをしてウォーキングを始めた日があるかもしれません。
「少しズボンのウエストが緩くなったかな?」と、ご自身の変化を実感した日もあるかもしれません。
最終支援が終わったとき、「この機会をきっかけに生活習慣を改善できました。目標値にはいかなかったけど、見た目は変わった気がします。」というお言葉をいただいたことがあります。
数値だけ見ていたら絶対にわからなかった、その方の「健康への一歩」のきっかけになれたんだと、その時に改めて実感しました。
「意味があった」と信じて届けよう
同じように迷いながら働いている指導員の方へ。
データは「意味があった」と言っています。
だから、私たちの言葉は数字としても効果を出しているはずです。
完走してくれた方たちに、私たちの関わりは確かに届いていた。
そう思えるだけで、また次の面談に向かえる気がします。
そしてもし、この記事を対象者の方が読んでくださっていたら…。
支援は3カ月で終わりますが、あなたの生活は続きます。
私たち担当者は、あなたが今後も健康で過ごせることを、陰ながら応援しています。
参考
(1)厚生労働省 特定健診・特定保健指導の実施状況(2023年度)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001492019.pdf(26/06/11)
(2)一般社団法人日本肥満症予防協会 特定保健指導の効果 腹囲や血糖値の改善は5年間続くhttps://himan.jp/news/2016/000160.html(26/06/11)
(3)厚生労働省 第4期特定健診・特定保健指導に向けてhttps://www.mhlw.go.jp/content/11907000/001127418.pdf(26/06/11)



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