前回は後輩の練習相手として栄養相談を受けた経験から、「行動目標を忘れてしまう理由」「やったつもりでも結果が出ない理由」についてお話しました。
今回はそのなかで少し触れた「目標を具体的な行動に落とし込む」という部分を、もう少し掘り下げてみようと思います。
私個人の体験談にはなりますが、同じように栄養相談をしている方にとって、何かヒントになれば嬉しいです。
具体的には、何をどのくらい増やすといい?
その栄養相談で決まった私の行動目標は「朝食にたんぱく質を足す」でした。
練習だったこともあり、私は後輩にこう聞いてみました。

具体的には、何をどのくらい増やすといいですか?

豆腐1パック(150g)を足しましょう
これが最初の提案でした。
「そんなに食べられないかも」で気づいたこと
この「豆腐を足す」提案に対して、当時の私はこう思いました。

そんなに食べられないかも…
私は普段、朝食に納豆を1パック食べています。
そこに豆腐1パックが加わると、お腹がいっぱいになりそうだったからです。
一方の後輩は、「そのくらいは食べられる(満腹にはならない)」という感覚で提案してくれていました。
当たり前のことではありますが、「普通の量」「食べられる量」の基準は、人によって全然違うんだと、この時改めて実感しました。
栄養素は合っていても「大豆だらけ」かも?
もう一つ、正直に思ったことがあります。
たんぱく質の量だけで見れば、納豆と豆腐の組み合わせは間違っていません。
でも実際に食卓に並べた場面を想像すると、「大豆だらけかも」という気はしました。

量として適切でありながら食事の組み合わせもバランス良くするのは、意外と簡単ではないのかもしれません
結局選んだのは、飲み物
そのあと、後輩は他の案も出してくれました。

キャンディーチーズ、豆乳、牛乳、ヨーグルトなど…
私が普段の朝食に取り入れられそうなものを、量も含めて教えてもらいました
最終的に私が選んだのは、豆腐ではなく豆乳でした。
これも大豆+大豆に変わりはないのですが、飲み物の方が私にとっては取り入れやすかったからです。
この経験を通して、私自身も栄養素として正しいかどうかだけでなく、その人が実際に食生活に取り入れられるかどうかまで考える癖がつきました。
今回のようにすでに食べているものがある人には、それに合う食品を提案した方がいいかもしれない。
量が負担になりやすい人には、飲み物にしたり頻度を分けたりする方がハードルが低いかもしれない。
栄養素の計算だけでなく、その人の食生活全体を踏まえて目標に立てる必要があるのだと思います。
「増やす」だけでなく、「減らす」場面でも
一方、特定保健指導では「増やす」よりも「減らす」目標の方が多いです。
今回の私の経験は「増やす」場面での話なので、少しずれているように感じるかもしれません。
しかし「減らす」場面でも、その人が実際に食生活に取り入れられるかどうかを想像する力は大切なはず。
例えば「毎日食べている間食を今日から全て止めるのは、本当にできる?」と想像する場面も多くあります。
以前、自分で作った食べ物を販売する仕事をされている方から、こんな話を伺ったことがあります。
「商品として出せるか確認するために、味見をする機会が多い。そのせいで食べ過ぎているのはわかっているんだけど…」とのこと。
これに対し、以前受けた保健指導では「味見は一口だけにして、残りは捨てればいい」と言われたそうです。
自分が丹精込めて作ったものをその場で捨てるという行為は、私だったら気持ちの面でも難しいだろうな…と思った出来事でした。
その方ができる範囲で、でもちゃんと結果の出る目標を、ご本人とすり合わせていきたいと思っています。
目標設定は、栄養素の正しさだけでは足りない
前編では、目標を「量」「頻度」まで具体的に落とし込む必要があるのではないか、という話をしました。
今回の経験を通して、それだけでもまだ足りないのかもしれない、と感じています。
量や頻度が具体的でも、その人の普段の食事や、食べられる量(または減らせる量)の感覚に合っていなければ、実行に移すのは難しくなります。
「豆腐1パック」が「豆乳1杯」に変わったように、同じ目的(例えば「たんぱく質を増やす」)でも、その人に合った形に翻訳して初めて、実行可能な行動目標になるのだと思います。
その方の食事内容や量の感覚を先に聞いてから、その人に合った具体的な提案をする。
当たり前のようですが、自分が対象者側になって、改めてその大切さを実感しました。
もし「対象者がなかなか行動に移してくれない」とお悩みの指導員の方がいたら、ぜひ一度自分がそのアドバイスを受ける気持ちになってみるのもいいと思います。
私の経験が参考になれば嬉しいです。




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