腸活を意識するにあたって、「便秘を改善したい」という思いがきっかけの方は少なくないと思います。
便通異常症診療ガイドライン2023‐慢性便秘症によると慢性便秘症の有病率はおよそ10~15%と見積もられており、10人に1人以上の方が便秘に悩んでいることになります。
そこで今回は、そんな便秘を改善するための食事について解説していきます。
便秘とは?
便秘のうち、その状態が慢性的に続くために日常生活や身体に様々な支障をきたしうる病態のことを慢性便秘症といいます。
まず検査の結果で器質性便秘(大腸に形態的な病的変化を認めるもの)ではないと判断された場合、機能性便秘として原因分類されます。
そのうち、症状による分類として排便回数や量が減少して便が大腸に滞って出ない排便回数減少型と便は直腸まできているのにそこから体外に出せない排便困難型に分けられます。
この後は慢性便秘症≒便秘として解説していきます。
便秘になりやすい人
以下の条件に当てはまると、便秘になるリスクが上がるといわれています。

そもそも食べる量が少なく、便の材料が足りていないという場合もあります。

では、どうすれば便秘を改善できるのでしょうか。
今回は数ある方法の中でも、ガイドライン等において現時点で有効だと認められている食事について解説していきます。
便秘改善のための食事とは?
シンバイオティクス
近年は便秘と腸内細菌との関連が注目されています。
そのうち、プロバオオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたシンバイオティクスは腸内環境を整えると考えられています。

シンバイオティクスについての詳しい解説はこちら
シンバイオティクスを意識した食事を摂ることで、便秘の改善も期待できます。
グアーガム分解物(PHGG)
グアーガム分解物は、発酵性食物繊維のひとつです。
インドやパキスタンなどの乾燥した地域で採れる「グァー豆」の種を粉末にしたものをグアーガムといい、それを酵素によって加水分解したものがグアーガム分解物(PHGG)です。
慢性便秘症に対して排便回数を優位に増加させたり、便秘薬の使用量を有意に減少させたりすることが示されています。
無味無臭で様々なものに溶けるので、固形食品だけでなく飲料やゼリー、健康食品などに広く応用されています。
便秘だけでなく下痢の改善にも効果があるといわれており、腸内細菌との関わりとしてはビフィズス菌の増加作用が最も特徴的です。
酪酸
酪酸は、短鎖脂肪酸のひとつです。
腸管運動を促進するセロトニンの産生を促すことが報告されています。

主に腸内細菌の酪酸菌によって作られます
こちらの食品は、グアーガム分解物と酪酸菌を一緒に摂取できます。
キウイフルーツ
キウイフルーツは、自発排便率と排便回数の増加が認められています。
特にグリーンキウイにはゴールドキウイの2倍弱の食物繊維が含まれているため、便秘解消のためにはグリーンキウイがおすすめです。

目安量は、小さめのものなら1日に1〜2個(150~200g)です

プルーン
プルーンもキウイフルーツと同様、自発排便率と排便回数の増加が認められています。
エネルギー量が1個あたり15~25kcalあるので、食べすぎには注意しましょう。

目安量は、1日に2~5粒(40g)です

糖尿病や腎臓病等の疾患がある方は、1日に摂れる果物の量が異なる場合があります。主治医や管理栄養士にご確認ください。
サイリウム(オオバコ)
サイリウム(オオバコ)とは、オオバコ科の一種であるプランタゴ・オバタという植物の外皮を粉末状にしたものです。
水に混ぜるとゼリー状に膨らむ性質があり、上記2つと同様に自発排便率と排便回数の増加が認められています。

飲み物に混ぜたり、お好み焼きやホットケーキなどに混ぜて使います

その他
小麦よりも米や豆由来の食物繊維が多く含まれる食事や、ヨーグルトなどの乳酸菌食品が有効との報告もあります。
また、いくつかの研究では運動や多くの水分摂取などの生活習慣改善が有効であると示唆されています。

便秘解消以外の面から見ても、適度な運動や水分摂取は大切ですね!
逆に菓子類やパン類が多いと、便秘が多くなるといわれています。
飲み物では、コーヒーの摂取量が多いほど便秘が少なく、緑茶とウーロン茶の摂取量が多いほど便秘が多かったという報告があります。

食事を見直して、便秘改善を目指そう!
今回は、便秘を改善するための食事について解説しました。
特にガイドライン等で有効だと認められているものについてを中心にまとめました。
効率的に便秘改善に繋げたい方は、ぜひ1種類からでも試してみてください。

腸から健康にしていきましょう!
参考
(1)便通異常症診療ガイドライン2023‐慢性便秘症 https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00812.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b(2025/10/05)
(2)日本内科学会雑誌 第108巻 第1号「慢性便秘の定義と分類」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/108/1/108_10/_pdf(2025/10/05)
(3)日本大腸肛門病会誌 72「Ⅴ.慢性便秘症に対する食事療法,運動療法,理学療法」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcoloproctology/72/10/72_621/_pdf(2025/10/05)
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